立体的なユリの置物
私が制作する木彫りは、板に模様を彫る平面的な作品がほとんどです。
過去に1度だけ小ぶりなのバラの花部分を立体的に彫ったことがありましたが、今回は大きめなユリの花の置物に挑戦してみました。
ユリモチーフの作品は2つ目になります。
切り出しと花びら
図案を書き写し、切り出すところまでは今までと同じです。
花びら・葉っぱ×4・つぼみ・茎×2を別々に制作し、くっつけて1つのユリの花にしようと思います。
おばけヒトデ襲来
まず、花びらから取りかかりました。
花びらの動きを出すのに、2cmのシナノキ板を2枚重ね厚い板にして彫っていきました。
彫っていくうちにイメージからどんどん離れていき、でっかいヒトデのようになっていきました。
ヒ、ヒトデの置物…。誰も欲しくないな。ちょっと気持ち悪いし。
彫れば彫るほど、おばけヒトデになっていきます。もしや失敗…?
永らく暗黒時期を過ごしましたが、雌しべ・雄しべを彫っていったあたりから何となくおばけヒトデを脱してきました。
それでも板の厚みが気になるので、パキッと折れない程度に薄くしていきました。
茎問題にぶつかる
少しずつヒトデからユリの花になってきたので、次に茎に取りかかります。
茎部分は木の丸棒を彫って加工し、花と合体させるつもりでいました。
しかし、削っていくうちに木の棒にヒビが入る→その部分カット→またヒビ→カット…となってしまい、これじゃダメだなと諦め、板を細めにカットして使うことにしました。
板を細長くして彫っていき、なんとか茎っぽくなってきました。
サンドペーパーをかける
あらかた彫り上がったので、サンドペーパーをかけていきます。
ヒトデ感をなくすために多めに磨きました。
磨き終わったそれぞれのパーツです。
木の台座を用意し、そこに穴を開けてユリの茎と葉っぱを差し込むようにします。
バランスを考えて穴の位置を決めドリルで穴を3箇所開けました。
台座は手持ちの板で丁度良さそうなサイズのくるみの板があったので、加工せずにそのまま使うことにしました。
最初の段階では葉っぱが4枚だったのですが角度や高さを調節しバランスを考えた結果、最終的に3枚になりました。
色をつける
との粉を全体に塗り、乾いてから花びらとつぼみ以外に色をつけました。
蕊の先は花びらと区別できるよう濃いめに色付け。
この段階では色が全体的に薄いですがニスをかけると本来の木の色が出てくるので花びらの色がどうなるのか少し不安でした。
との粉を塗った際に水分で木が膨張し、茎が入りづらくなってしまったのでサンドペーパーで磨いて調整しました。
その後ニスを塗りました。室内でやるとシンナーくさくなるので、がっちりダウンを着込んで雪が降ってない日に屋外で作業しました。
寒かったです。
外が寒いので乾きも悪く、乾かすのに時間が掛かり
だいたい色付けとニス作業で1ヶ月かかりました。
木彫りのユリ完成
やっと完成しました!
いつもの木彫り作品と勝手が違い、花びらはヒトデ時代が長くどうなるのかなと不安でしたが何とかなりました。
茎も最初は丸棒でと思っていましたが細い板になりました。
これはこれで良いんじゃないでしょうか。
板の切り出し後から完成までの花びらを比較してみました。
全然違いますね。それらしく出来て本当に良かったです。
慣れていないこともあり、普段制作するレリーフよりも難しかったです。
やっぱり花びらと雌しべ・雄しべが一番大変でした。
厚さ2×2cmの板を花びらに見えるように薄くするのにとっても苦労しました。
上手く出来ましたが、かなり大変でしたので制作するのは最初で最後になりそうです。
染料 との粉 色粉
木のサイズ ゆりの高さ32cm 台座×16.5×20×2.5cm
制作期間 8ヶ月間
制作年 2018.3