
水芭蕉のレリーフ
通常、木彫りに使う板は幅が20cm位のものが主に流通しているので、それを購入し使っているのですが幸運にも厚さ3.5cm、幅が32cmの桂の木の1枚板が手に入りました。
何を作ろうかと考えた末、本の写真で見かけた水芭蕉のレリーフに挑戦してみようと思いました。
本には写真しか載っていなかったので、自分で図案を起こし板に書き込みました。
結局写真とは全く別のものになりましたが、これはこれで気に入っています。
板を見てみると亀裂が入った部分などもあり、その部分を糸のこでカットして使えるところだけ残した結果、不思議な形になりました。
糸のこで切り出し終え、いざ彫ってみると思っていた以上に大変な作業になりました。
彫る!彫る!彫る!無限地獄
白いのは花ではなく仏炎苞(棒状の花を包み込む苞を仏像の背景にある炎形の飾りに見立てたもの)で、本当の花は中心部の黄色いところについている。
引用元:みんなの花図鑑
水芭蕉の花だと思っていたものはどうやら仏炎苞というものだったようです。
本当の花の部分のつぶつぶした感じと仏炎苞のふんわりとした感じを出すのに苦労しました。
つぶつぶした所は最初荒く彫っておいて、最後に3mmの三角刀で細かく線を入れて花に見えるようにしました。
水芭蕉の咲き方の違いを出すのにも時間をかけて取り組みました。
密集して群生している水芭蕉を表すために、あえて深く彫り、重なり合ってもゴチャつかないように、メリハリをつけたつもりです。
葉っぱと仏炎苞の区別をつけるために、違いを出すのも大変でした。
本当はもっと浅く彫るつもりだったのですが、あーでもないこーでもないと試行錯誤を繰り返すうちに、どんどん深みにハマってしまい何だかわけが分からなくなってしまいました。
結果的に深彫りになってしまったわけですが、完成してみると案外見栄えが良く見えたので良しとしましたが、彫っているときは色々悩みました。
背景の部分も平らではなく、湿地帯の土壌を意識して、凹凸を付けて彫っています。
レリーフを乗せている台もこの作品に合うように、レリーフが完成してから寸法を測り自作しました。
色々と細かい作業があり時間もかなり掛かりました。
切り抜くときにあまりの厚みで糸のこの刃が歪み、板自体も歪んで切れてしまいましたが
完成してから眺めると歪みもまた良い雰囲気が出ていて、現在は床の間に飾っているのですがピッタリ合っている気がします。
染料 やしゃ玉
木のサイズ 32×44×3.5cm
制作期間 2年
制作年 2003.6
ゆりのレリーフを彫りました