大昔に初めてバラのレリーフに挑戦し心が折れそうになった話。
バラの浮き彫りデザインに初挑戦
バラの作品は難しいと聞いていたので、あこがれの花としていずれ彫りたいと思っていました。
木彫りを始めて4年目にとうとうバラに手を出すことになります。
選んだ図案はバラが2輪のもので、2輪なら少ないし、私でも彫れるかなと思い決めました。この時は…。
バラの落とし穴
この図案のバラは浮き彫りなので、まず額縁の部分を残し周りからある程度彫り下げていき次に葉っぱに取り掛かりました。
バラに取り掛かる前の段階の彫り下げですが、意外に時間がかかりました。
くるみの木なので硬く、背景部分の面積も広いのでとりあえず平らに彫るだけなのですが手こずりました。
どの作品も同じですが、一番高さが低いところから彫っていき立体感を出すようにしています。
葉っぱの重なりや、茎から伸びている感じを違和感なく出すのに大変時間が掛かりました。
本体のバラの花びらの彫りは一体どうなるのやら…不安でした。
先輩たちの作品を参考にして、いよいよバラの花びらに取り掛かりました。
花びらが花芯を中心に円を描くように咲いている様子、花びら一枚一枚のバランス、花の咲く向きもそれぞれ違うなど思いもしなかった細かい部分に直面しました。
案の定、うまく木彫りで表現出来なくもどかしい思いをしました。
今改めて見てみると、バラの花びらにもっと角度を付ければよかった
三角刀で葉脈をはっきりさせれば良かったなど、修正したい箇所が溢れんばかりに出てきますが当時はそこに気づくこともなく、ただひたすらお手本を自分なりに真似て彫っていました。
美しいけど恐ろしい花、バラ!
バラの恐ろしさにすっかりやられていたはずなのですが、なぜが本の図案にはない3輪目として左側にバラの蕾らしきものを彫っています。
なぜ足したのか全く思い出せません。3輪目を足すことによって、誤魔化したかったのでしょうか?
謎です。
バラゾーンを抜けて完成へ
背景の模様は石目彫りのつもりで彫りました。
本当は五月人形の兜の背景のように、隙間なく波を打っているような模様なのですが
今回のバラのレリーフの背景では間隔が空き、蜂の巣の様な模様になってしまいました。
このバラは元々25cmの板だったので、ハタガネで2枚をくっつけ大きさを調節して制作に入りました。
表側から見る分には全くわからないのですが、裏側は手で触ってわかるくらいの段差が付いており、未熟さがここにも出ています。
花びらの彫りも繊細ではなくゴロンゴロンと大胆な彫りになっていますが、今となっては若さが飛び出している感じで懐かしく思います。
染料 色粉 茶 との粉
木のサイズ 35×37×2cm
制作期間 1年
制作年 1990年頃
rakuma